中村文則の「迷宮」を読了しました。
胎児のように丸くなって死んだ女の周りに無数にある折り鶴……凄惨な事件現場を表現してるのに美しく、なぜか日本昔話の怖い話を聞いたような気分になりました。 殺された女が美しかったというのも、折り鶴の艶めかしさとビビッド感でます。 絵にできそうな文章。 ただ、私は折り鶴がもともと苦手なので、「こわっ…」と思ってしまいました。
両親と長男が殺され、長女は睡眠薬で昏倒中。 それを「折り鶴事件」と呼んで話が進みます。
遺児となった長女が語るのは、崩壊して、狂っている家庭事情。 美しい母と結婚した父は、執拗な独占欲でカメラつけたり、物壊したりと散々。 長男もだんだんおかしくなる…。 出口がないから迷宮なんだと読みみてからの感想です。
中村さんは「悪」を書くのが得意なのか、「銃」なども黒い悪の話です。
中村さん大好きなので、読んだ本をどんどんレビューしたいです。(筆不精)
ぜひ。
- 作者: 中村文則
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/03/28
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (5件) を見る